事務所Blog
2014年12月25日 木曜日
【早期に対応する。】
不動産のあらゆる活用には、まず初めに境界を確認することが、
多くの問題発展の紛争予防になる。現況調査をすれば解決できる
ことがたくさんあり、必要な資格者や行政と連携できる能力も、
土地家屋調査士には備わっており、お役にたてると思います。
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土地家屋調査士を派遣して早期に対応することも考えるべきだ。
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【河北新報 2014年12月23日火曜日】
境界ずれ 負担と不安/仙台内陸 宅地復旧の壁(中)/かすむ復興
宅地復旧が本格化する仙台市青葉区折立5丁目の工事現場。震災の地滑りで境界線が崩れた
<隣にはみ出る>
解体した自宅は十分に使えるはずだった。目算を狂わせたのは、東日本大震災で生じた土地の境界問題だった。
「今から何を言っても仕方ない」。言葉とは裏腹に、仙台市青葉区折立5丁目の庄子敏子さん(69)はわだかまりを消すことができない。
地区内では北東方向にずれる地滑りが発生した。庄子さんの宅地も最大約2メートル動き、隣の敷地と道路にはみ出す格好となった。
土地の境界は不明瞭になったが、家屋はわずかに傾いただけ。決して住めない状況ではない。
同様の被害が起きた新潟県中越沖地震でも、動いた位置を基準に境界を決めた例があった。「土地はこのままで建屋だけを修復しよう」。庄子さんがそう考えたのも当然だった。
風向きが変わってきたのは昨年春。周辺住民の大部分が土地を現状復旧させていた。
<費用倍以上に>
法的に問題ないとはいえ、自分だけ歩調を合わせないのは居心地が悪い。土地を以前の状態に戻すことを昨年末に決断し、建物を取り壊した。
解体費は自己負担。震災間もない時期なら公費で賄われるはずだった。建て替えの間の仮住まいの賃料も必要になる。トータルの復旧費用は当初見込みの倍以上に膨れ上がった。
曲折はあったが、新居は来春完成の見通しがついた。「被災時にもっと情報を集めておけばよかった」。新生活を前に、庄子さんが振り返った。
<擁壁厚み増す>
境界問題は土地そのものの復旧にとどまらず、外構整備でも顔を出す。
玉石積みの擁壁の補強工事が進む青葉区旭ケ丘2丁目。後背地に余裕がない場合などは、表面をコンクリートで塗り固める工法が採用されている。
擁壁は境界ぎりぎりに建てられているケースが少なくない。工事は隣家の承諾を踏まえているものの、擁壁の厚みが増した結果、その表面が隣地にはみ出すこともある。
地域内の女性(69)は隣の家が工事の真っ最中。自宅と擁壁の距離はもともと人が通るほどしかない。「庭いじりの道具を置いていたけど工事後はどうなるか」と壁のはみ出し具合に気をもむ。
土地の境界は不動産の価値を左右する。将来的に思わぬ近隣トラブルの元凶にもなりかねない。
市内の不動産業者の一人は「建て替え時などに擁壁を敷地内に戻すといった約束を書類で交わした方が安全。公費で実施する以上、市は所有者に指導する必要があるだろう」と指摘した。
[メモ] 震災の宅地復旧事業で、仙台市は基本的に境界問題に関与しない姿勢を貫いている。自治体として公平な対応が難しいこともあり、地権者間で推定境界を決めた上で工事を進めている。問題が複雑な場合、市は調整役として行政書士を派遣して対応した。
投稿者 測量・登記 京都やまだ事務所